酒類販売免許の取得後について

最終更新日:2023年9月9日   行政書士 勝山 兼年





免許を取得してからの義務とは

 酒類販売においては、取得した酒類販売業免許にあった販売のみ行うことができます。


  • 例えば、一般酒類小売業免許は、消費者又は酒場・料理店等酒類を取り扱う業者に販売することができる免許であり、他の酒類販売業者に対して酒類を販売することはできません。
  • 自己輸入酒類小売業免許は自己が輸入した酒類をレストラン、ホテル等の料飲店営業者に販売することができる免許であり、一般消費者に販売することはできません。
  • 通信販売を行う場合は、要件を満たした上で別途申請が必要となります。
  • 酒類を仕入れる場合には、酒類の卸売をすることが可能な者(酒類卸売業免許を取得している者、酒類製造者など)から購入する必要があります。

免許取得後の各種手続き

  一般酒類小売業の免許を取得後、以下の事由が生じる場合、各種届出を行わなければなりません。

名称 内容 期限等
酒類販売場移転許可申請書 免許を受けた販売場を移転しようとするとき 事前に申請し許可を受ける
酒類販売業免許取消申請書 酒類販売業を廃止するとき 事前に申請
酒類販売業相続申告書 酒類販売業者が死亡し、その相続人が引き続き酒類販売業を行うとき 遅滞なく

酒類販売業者が法人成り等をする場合

 個人事業として、酒類小売業免許を取得している場合、法人成りをして継続して酒類を販売したい場合は、いったん、個人事業の酒類販売業免許取消申請を行い、廃業した後に、あらためて酒類販売業免許申請を行う必要あります。

 すでに一般酒類小売業免許を受けた販売場で、新たに通信販売を行おうとする場合には、新たな免許申請を行う必要はありません。


 「酒類販売業免許の条件緩和申請書」により、販売場を管轄する税務署に条件緩和の申出手続きを行うことで通信販売が可能となります。


酒税法上の申告義務に関する申告と届出

 酒類販売業者には、酒税法の規定により、次のような義務が課されています。 これらの義務を履行しない場合には、10万円以下の罰金または科料に処することとされています。

帳簿義務

  酒類の仕入、販売について次の事項を帳簿に記帳する必要があります。

また、帳簿は販売場に備え付け、帳簿閉鎖後5年間保存してください。

仕入に関する事項  品目別の仕入数量、仕入価格、仕入年月日、仕入先の住所・氏名または名称
販売に関する事項  品目別の販売数量、販売価格、販売年月日、仕入先の住所・氏名または名称

(注)

  • 販売先の住所及び氏名又は名称は省略することができます。
  • 次に掲げる事項を厳守する場合には、販売した数量、販売年月日については、3ヶ月を超えない期間中の合計数量により一括して記帳することができます。
  • 仕入れた酒類の全部について、上記の仕入に関する事項が全て記載された伝票を仕入先から交付を受け、それを5年以上保存しておくこと。
  • 3ヶ月を超えない月の月末に酒類の棚卸を行っていること。
  • 税務署の職員が検査取締上必要があると認めたときは、仕入、販売に関する帳簿を検査することができることとなっています



変更等に伴う申告、届出の義務

名称 内容 期限等
酒類の販売数量等報告書 会計年度(4月~翌3月)ごとに、取り扱う酒類の品目別販売数量の合計及び3月末日の在庫数量を報告します 翌会計年度の4月末
異動申告書 申請者の氏名(名称)及び住所の変更があったとき 直ちに
販売場の名称等及び所在地(拡大・縮小、地名・地番)の変更があったとき
酒類販売業休止・開始申告書 酒類販売業を休止または再開するとき 遅滞なく
酒類の詰替え届出書 酒類製造場以外の場所で酒類の詰め替えを行うとき 詰め替え日の2日前
表示方法届出書 詰め替えを行う場合で、容器に酒類販売業者の住所、氏名(名称)、詰め替え場所等を記載するとき 搬出の時
酒類の販売先等報告書 税務署長より、酒類の販売先の住所、氏名(名称)の報告を求められたとき -

変更等に伴う申告、届出の義務

名称 内容 期限等
未成年者の飲酒防止に関する表示基準の実施状況等報告書 毎年4月1日の酒類販売管理状況等の報告 4月末
酒類販売管理者選任(解任)届出書 酒類販売管理者の選任または解任をしたとき 選任日から2週間以内

20歳未満の者への表示

  酒類小売業者は、以下の20歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準を守らなければなりません。

酒類の陳列場所における表示
  • 酒類の陳列場所の見やすい位置に「酒類の売り場である」又は「酒類の陳列場所である」ことの表示をすること。
  • 「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売できない」ことの表示をすること。
酒類の自動販売機における表示
(自動販売機の前面に表示する)
  • 20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されていることの表示をすること。
  • 免許者の氏名又は名称、酒類販売管理者の氏名及び連絡先等の表示をすること。
  • 販売停止期間(午後11時から翌日午前5時まで)の表示をすること。
酒類の通信販売における表示
  • 広告又はカタログ等に「未成年者の飲酒は法律で禁止されている」又は「20歳未満の者に対しては酒類を販売しない」ことの表示をすること。
  • 申込書に、申込者の年齢記載欄を設けて、その近くに「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」又は「20歳未満の者に対しては酒類を販売しない」ことの表示をすること。
  • 納品書に「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」ことの表示をすること。


その他の法律に基づく要請

 

酒類販売管理研修の受講事績の掲示

  選任された酒類販売管理者が酒類販売管理者研修を受講した後は、その事績について販売場内に掲示(実施団体が受講後に交付する「受講証」)する必要があります。

酒類販売管理者の標識

酒類の公正な取引の推進

  独占禁止法や公正取引委員会のガイドライン、国税庁「酒類に関する公正な取引の指針」により酒類の不当廉売や差別対価等の不公正な取引は禁止されています。

 酒類の販売に当たってはこれら規定等の要請に配慮し、公正な取引を行うよう留意する必要があります。



酒類容器リサイクルの推進

  容器包装リサイクル法は、消費者・市町村・事業者が、分別排出・分別収集・再商品化といったそれぞれの役割分担により容器包装廃棄物のリサイクルを推進し、新たなリサイクルシステムを構築することを目指しています。

  酒類小売業者の方は、次の基準を満たす場合に、販売に用いたレジ袋や包装紙等の容器包装について再商品化義務が生じます。



基準 対象
主たる事業が卸・小売・サービス業 ⇒売上高7千万円超又は従業員数5人超の事業者
主たる事業が卸・小売・サービス業以外 ⇒売上高2億4千万円超又は従業員数20人超の事業者

免許取得後の各種手続きサポート

 免許通知書が交付されたのちも勝山兼年行政書士事務所では各種手続きについてご案内させていただきます。また、帳簿記帳義務や「未成年の飲酒防止対策」などのアドバイスをさせて頂きます。




記帳義務と数量報告

 酒類の仕入・販売について帳簿に記帳すること、一年間の販売数量は税務署長あてに報告することが必須です。


条件緩和の申出手続き

 現在付与されている免許の条件を広げるためには、事後の申告ではなく条件緩和の申出をする必要がります。



通知書内容変更の異動申告手続き

 現に付与されている酒類販売業免許において、交付時の内容からの異動があった場合は速やかに申告手続きしなければなりません。



蔵置所設置の報告書手続き

 販売場以外の場所に酒類を保管する場合は蔵置所設置の報告届をしなくてはなりません。



販売場の移転許可申請

 酒類の販売場を同一の建物内以外の場所に移転する場合は事前に移転許可申請 を行い許可を受けなければなりません。



酒類販売業免許の譲渡

 個人が法人成りしたり、会社が解散して代表者が個人で免許を引き継いだり、会社が合併、分割、分離したりする場合は酒類販売業を承継する者は新規で免許の交付を受けなければなりません。



酒類販売業の相続申告

 酒類販売業を営んでいる方が亡くなられた場合について一定の手続きをすれば免許の相続が認められます。



営業者の法人成り

 個人の免許で酒類販売業を営んでいた者が、代表者となった法人による同一販売場での免許交付申請について。



まとめポイント
  • 異動申告は事後に申出、移転許可と条件緩和は事前に審査がある。
  • 記帳と数量報告は義務。
  • 販売場以外に保管場所を設ける場合は蔵置所設置報告。
  • 管理者が変更した場合は酒類販売管理者選任届。



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