洋酒卸売業免許の取得方法

最終更新日:2024年8月24日   行政書士 勝山 兼年





洋酒を卸売りするための免許について

 果実酒、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、発泡酒、その他の醸、造酒、スピリッツ、リキュール、粉末酒及び雑酒を卸売りするには洋酒卸売業免許取得が必要です、この免許を取得するためには、実務経験の要件が厳格に求められ、引き続き三年以上の酒類販売経験または調味食品等の販売業を三年以上継続していることが必要です。この実務経験の要件は個人事業主本人や会社の取締役に限られ、従業員としての経験は認められません。実務経験のない方は、まず輸出入酒類卸売業免許を取得し、自己が輸入した酒類だけを三年以上扱い、その後で洋酒卸売業免許の条件緩和の申出を行うことが推奨されています。




 限定された品目以外のビールや清酒などは取り扱いできません。仕入れ先は海外でもできますので、輸出入酒類卸売業免許が無くても輸入できる免許です。逆に輸出入酒類卸売業免許業者であっても他社が輸入した酒類については、洋酒卸売業免許がないと仕入れできないことになります。



洋酒を卸売販売したい!!

洋酒卸売業免許を取得するとは

  酒類の販売業者や製造場に対して、以下の酒類を卸売りできる免許です。

洋酒卸売業免許で取り扱えるお酒の種類

  果実酒、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、発泡酒、その他醸造酒、 スピリッツ、リキュール、粉末酒、雑酒

  ※複数品目にわたる免許を申請しても問題ありません。

  • ワインなどの上記酒類の卸売をしたい
  • 輸入した上記酒類を他の一般酒類小売業免許業者に卸売りをしたい
  • 輸出入酒類卸売業免許は取得しているが、上記酒類の国内仕入れをしたものの卸売りもしたい。

  ・・・こんな上記の場合のかたは、洋酒卸売業免許が必要です。


洋酒卸売業免許取得の要件

 一般酒類小売業免許などでは酒類販売管理研修を受講することで実務経験ありとみなされますが、洋酒卸売業免許では実務経験については厳密に問われます。引き続き三年以上の酒類販売経験または、調味食品等の販売業を三年以上継続している者となります。上記の経験とは個人事業主本人や会社の取締役で会って、従業員としてでは経験があるとはみなされません。実務経験のない方は輸出入酒類卸売業免許で自己が輸入した酒類だけを三年以上扱い、期間経過後に洋酒卸売業免許の条件緩和の申出をすることをお勧めします。

酒類販売の経験の証明

 小売業免許や輸出入酒類卸売業免許では酒類の販売及び製造の経験がない方の場合には「酒類販売管理者研修」を受講することで「十分な知識、経営能力及び販売能力を有する」とみなされます。しかし、洋酒卸売業免許ではそのようなみなし規定はなく調味食品等の販売経験もない場合は、洋酒卸売業免許交付の要件は満たされません。そこで、一般酒類小売業免許又は輸出入酒類卸売業免許で販売実績を積み上げ、3年後に洋酒卸売業免許を申請することをお勧めします。


取引承諾書

  免許申請の際に、販売先及び仕入先を確保している事を証明するために、取引承諾書等を提出する必要があります。 販売先取引承諾業者が一般酒類小売業免許業者であることはもちろんです。仕入れ先については国内業者でなければなりません。海外業者のみであれば、免許の酒類は「輸出入酒類卸売業免許」となりますので注意してください。取引先業者の確保を早めにすることが重要なポイントです。


洋酒卸売業免許でできること

 洋酒卸売業免許があれば、別途に輸出入酒類卸売業免許が無くても(果実酒、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、発泡酒、その他醸造酒、スピリッツ、リキュール、粉末酒、雑酒 )輸出入はできます。しかし、消費者や料理店に販売する場合は一般酒類小売業免許の取得が必要です。

経営の基礎

  • 国税、地方税を現に滞納していないこと。
  • 過去二年間に滞納処分を受けていないこと。
  • 直近の決算で資本金の額を超える累積の赤字がないこと。
  • 直近三期の決算の赤字が全ての期において2割以上あること。



洋酒卸売業免許申請においての必要書類

 洋酒卸売業免許の申請には国税庁所定の申請書類書、販売場にかかわるもの、申請人にかかわるものに別れます。主な書類は以下の通りです。



国税庁所定の書類

  • 酒類販売業免許申請書
  • 販売場の敷地の状況
  • 建物等の配置図
  • 事業の概要
  • 収支の見込み
  • 所要資金の額及び調達方法
  • 「酒類の販売管理の方法」に関する取り組み計画書

販売場にかかわるもの

  • 土地及び建物の登記事項証明書
  • 建物賃貸借契約書(適宜使用承諾書)

申請人にかかわるもの

  • 履歴書(個人、法人役員全員)
  • 免許要件誓約書
  • 住民票(個人、法人(登記事項証明書)
  • 現行定款(法人)
  • 最終事業年度以前3事業年度の財務諸表(法人)
  • 所要資金の額及び調達方法
  • 都道府県及び市区町村が発行する納税証明書
  • 所要資金を証明するもの
  • 酒類販売管理研修受講証写し


洋酒卸売業免許の交付までに要する期間

 洋酒卸売業免許申請後の審査期間は概ね1ヶ月から2ヶ月です。申請案件ごと個別に審査されますので、不足の書類や申請内容に補正がある場合などは審査の期間は長くなります。また、申請までの書類の作成に三週間ほど要します。申請時の状況により証明書の発行→、法務局での登記変更、た販売場所有者からの書類の受け取りなどにもさらに時間がようすることも予想されます。


洋酒卸売業免許取得が必要な事例紹介

Ⅰ :カルフォルニアからワインを輸入し、酒店などに卸売りをしていたI社は、取引先の要望で別ブランドのカルフォルニアワインも扱うことになりました。

Ⅱ:インド・ネパール料理店などにスパイスやハーブ、小麦粉などを販売する食品商社J社は、一般酒類小売業免許をもって、料理店に酒類の販売もしておりました。この度、同業の商社(酒類免許なし)からJ社の扱う酒類の仕入れをしたい旨依頼がありました。

Ⅲ:貴金属買取リサイクルショップを5店舗運営するG社は、運営する1店舗で通信販売免許をもって、全店舗が買い取った酒類の販売をしておりました。


洋酒卸売業免許と輸出入酒類卸売業免許との違い

洋酒卸売業免許 輸出入酒類卸売業免許
扱える品目 ・洋酒に限る ・洋酒に限らず海外で生産されて自己が輸入したもの
実務経験 ・引き続き三円以上 ・酒類販売管理研修受講で対応可
取引承諾書 ・必要 ・必要
輸出 ・不可 ・可能
海外産酒類の取扱 ・可能 ・自己が輸入したものに限る
国内産酒類の取扱 ・可能 ・不可
消費者への販売 ・不可 ・不可

条件緩和の申出

 現在付与されている輸出入酒類卸売業免許だけの場合、自社が輸入したものしか、卸売り販売できません。他社が輸入したものは海外産酒類であっても国内仕入れとなります。国内仕入れ洋酒を卸売りするためには洋酒卸売業免許を取得しなければなりません。また、小売業免許では業者への卸売はできません。販売場所在地の管轄税務署に条件緩和の申出をすることになります。洋酒卸売業免許の条件緩和の申出が認められるのは、いずれかの免許取得後3年以上酒類販売の実績を積み重ねが必要です。





洋酒卸売業免許を取得するには具体的にどうすればいいの?

免許の取得までの流れ

 洋酒卸売業免許には3年間以上の酒類販売実務経験を求められますので、洋酒卸売業免許を申請する時点で一般酒類小売業免許や輸出入酒類卸売業免許などの免許をもって営業されている場合がほとんどです。この場合は条件緩和の申出をすることになります。免許取得の申請先は酒類販売場住所地をを管轄する税務署です。審査は2ヶ月ほどで、審査が完了しましたら免許通知書が交付されます。通知日以降に営業ができます。

STEP1

税務署での事前相談

 酒類指導官設置税務署にて事前相談をし、要件の確認や提出書類などについて指導を受けます。

STEP2

書類の収集・作成

 書類の作成・収集を経て、申請者が署名押印します。

STEP3

税務署への条件緩和の申出

 所在地管轄の税務署にて条件緩和の申出します。申出書のコピーを同時に提出し、受付印をもらって控えにしておきましょう。(二ヶ月ほどの審査期間中、税務署より追加の資料提出などに対応しなければなりません。)。


STEP4

免許通知書の交付

 税務署より免許交付の通知がありましたら、申請者は税務署に出向き交付式に望みます。免許の通知の際に登録免許税を収めます。必要であれば蔵置所設置報告書も提出してください。


STEP5

酒類販売の開始

 免許交付後も帳簿の記載義務や各種関係法令に基づいた順守事項を守り、営業を行ってください。

免許交付後の解説

税務署に何度も行かなければならないの!?

免許取得手続き代行

 勝山兼年行政書士事務所では、依頼者様に成り代わって、税務署での免許申請手続きを代行させていただきます。  弊所にご依頼いただければ書類作成・収集、税務署での申請、免許交付後に必要な手続きのサポートを致します。免許交付式まで依頼者様が税務署に出向く必要は一切ございません。




免許取得代行のながれ



まとめポイント
  • 洋酒なら海外産、日本産をとわずに扱える。
  • 輸出入酒類卸売業免許が無くても海外仕入れで卸売ができる。
  • 買取った酒類を同業他者に販売するのは洋酒卸売業免許が必須。



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