自宅やレンタルオフィスなどでの酒類販売業免許販売場の条件

最終更新日:2024年8月31日   行政書士 勝山 兼年





自宅やレンタルオフィスなどでも酒類販売業免許はできるのか?

販売場とは

 販売場とは酒類販売における受発注業務や帳簿を備えつける事務所をいいます。必ずしも棚などに酒類の陳列がなされていなくても販売場に当たります。酒類販売業免許において販売場を設けることは必須です。具体的には店舗、事務所、倉庫などが該当します。不特定多数の酒の購入者が出入りすることがない場合であっても販売場を定めて免許申請することが求められるのです。酒類販売場の定義として客の注文を受付けたり、仕入や配達の指示をしたりする場所となります。単に在庫の酒類を保管するだけの場所は販売場ではありません。保管だけの場所を酒類蔵置所と言います。販売場に酒類を保管する必要はなく、客からの注文に応じて、指定の場所に配達するよう仕入元業者に受発注するだけの事務所でも販売場となります。 酒類の陳列して販売することを店頭販売といいます。通信販売酒類小売業免許に限らず、配達専門の小売販売であっても販売場がなくてはならないのです。




 また、販売場は帳簿の保管場所となります。販売場に酒類販売にかかわる帳簿を備え付ける義務があります。帳簿は紙で備え付けなくてはなりません。作成はパソコンなどを使っても構いませんが、プリントアウトしてうえでファイリングなどしていつでも閲覧可能な状態にしなくてはならないのです。




酒税法第10条9号(販売業免許の場所的要件拒否要件)

 正当な理由なく取締り上不適当と認められる場所に販売場を設置する場合(酒類の製造場又は販売場、酒場、料理店等と同一の場所等)




自宅を販売場にする場合

賃貸物件の場合

 自宅が借家の場合は建物所有者からの酒類販売場としての使用承諾を受ける必要があります。通常住居用の賃貸物件では契約で事務所使用を認めていない場合があるため、その除外規定となります。


自己所有の場合

 自宅が自己所有の場合は承諾の必要がありませんが、免許の申請者が法人で建物が法人代表者名義であれば法人代表者と法人との酒類販売場として使用する旨の賃貸借契約書を結んでください。



親族所有の場合

 配偶者が所有者であっても使用承諾が必要です。免許申請者との共有である場合も共有者全員から承諾をもらう必要がございます。

自己所有物件の販売場平面図


レンタルオフィッスやシェアオフィッスを販売場として免許申請する場合

 レンタルオフィッスでの免許取得は可能です。ただし、レンタルオフィッスの契約上、自己だけが占有できるスペースがあることが必須です。広さは問われません。打ち合わせ用のテーブルやカフェサービスなどが共有であったとしても、壁で仕切られ、鍵付きのドアで仕切られたプラーベート空間が使用できる契約としてください。完全なオープンスペースだけのレンタルオフィッスでは免許の交付はなされません。



転貸借の場合

 事務所契約が別の会社である場合は例え代表者が同じであっても、別法人ですので別途賃貸借契約をすることがもとめられます。都合により免許申請法人との賃貸借契が困難な場合は建物所有者と建物賃貸人、免許申請者で転貸借契約書をかわすことをお勧めします。建物所有者が免許申請者の販売場としての使用を認めていることを疎明しなくてはなりません。


所有者が複数の場合の建物使用承諾書


まとめポイント
  • 販売場の境界が明確であること。
  • 親族所有の建物でも賃貸借契約書が必要。
  • 審査において販売場の使用権原を厳格に求められる。



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