輸出入酒類卸売業免許の取得方法
最終更新日:2024年8月24日 行政書士 勝山 兼年
自己が輸出入する酒類卸売業免許について
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日本酒を輸出したい、ワインを輸入したい!!
自己が輸出、輸入する酒類を卸売するには輸出入酒類卸売業免許の取得が必要です。自己が輸入した酒類であっても、消費者や飲食店に販売するのであれば輸出入酒類卸売業免許ではなく小売業免許の取得が必要ないなります。
輸出入酒類卸売業免許を取得するとは
海外のビールやワインなどの酒類を輸入して国内で販売したい事業者の方、もしくは、国産の酒類を海外に販売したい事業者の方は、輸出入酒類卸売業免許が必要です。
輸入した酒類を一般消費者や飲食店に販売する場合には小売業免許も必要になります。
- 海外からワインなどを輸入したい。
- 輸入した酒類を他の酒類販売業者に卸売りをしたい。
- 日本酒などを海外に輸出したい 。
・・・こんな上記の場合のかたは、輸出入酒類卸売業免許が必要です。
免許の交付については必ずしも酒類の輸出入卸売りができるような内容ではなく、申請書に応じて輸出酒類卸売業免許または輸入酒類卸売業免許」などと限定的となります。契約書等で輸出入ともに確実になされるとみなされれば限定されないでしょう。
輸入をする
扱う品目に制限はありません。輸入の場合は海外で生産され免許業者自身が通関手続きを経て日本国内に持ちこんで、卸売りをすることができます。自己が輸入したものであっても、消費者や料飲店に直接販売する場合は一般酒類小売業免許で足ります。海外で生産されたものであっても他社が輸入した酒類を仕入れて卸売りはできません。他の酒類業免許の区分の取り扱いになります。
輸入に係る手続き
輸入された酒類には酒類容器の見やすい箇所に規定の事項を表示しなければなりません。表示内容について通関港の税関収納窓口に「表示方法届出」に提出し確認を受けなければなりません。
食品衛生法により販売目的で輸入した酒類には、厚生労働省検疫所食品等輸入届出受付窓口に「食品等輸入届出書」を提出し、審査や検査の上、「食品等輸入届出済証」の発行を受けなければなりません。
輸出をする
輸出の場合は国産酒類を海外に販売する場合はすべて輸出入酒類卸売業免許でしなければなりません。
輸出に係る手続き
酒類製造場から外国に輸出する目的で保税倉庫に輸送された場合は、例外として、酒税が免除されます。
福島第一原子力発電所事故後、輸出相手国から原産地証明書などの提出が求められことがあります。
輸出入酒類卸売業免許の要件
- 取引ができる範囲
輸出入酒類卸売業免許は自社が輸入したものに限って卸売りができる免許です。国内産や海外産であっても他社が輸入したものは扱えません。国内産や他社輸入のものを扱えるのは洋酒卸売業免許です。また、直接消費者や料飲店、飲食店には販売できません。別途に一般酒類小売業免許の取得が必要です。
- 取引承諾書
申請の時点で海外の販売先から取引をする旨の承諾書(売買契約書)を受け取っておきましょう。書面に記載されている取引品目にだけ免許の交付条件を付せられます。また、輸出、輸入そろぞれ一方のみの承諾書であれば、同様に輸出か輸入の制限が付される免許となります。
- 酒類の販売経験
免許の交付要件において「経験その他から判断し、適正に酒類の販売業を経営するに十分な知識及び能力を有すると認められる者」酒類の知識に関しては「酒類販売管理者研修」を受講することでみなされますが、輸出入業に関しては実際の貿易業務を行っていることが求まられます。直接海外取引(食品や飲料に限りません)をしていない場合は、免許交付が困難なることもあります。
経営の基礎
- 国税、地方税を現に滞納していないこと。
- 過去二年間に滞納処分を受けていないこと。
- 直近の決算で資本金の額を超える累積の赤字がないこと。
- 直近三期の決算の赤字が全ての期において2割以上あること。
※以下の場合は輸出入酒類卸売業免許がなくとも輸入できます。
- 一般酒類小売業免許業者が輸入した酒類を自社で販売する場合。
- 洋酒卸売業免許業者が洋酒卸売業免許で取り扱える品目を輸入する場合。
輸出入酒類卸売業免許取得が必要となる事例紹介
Ⅰ:食品輸出入業のC社は海外での和食ブームのこの頃、日本食材の輸出先である香港の会社より、和食に合う日本酒を取り扱ってほしいとの依頼がありました。
Ⅱ :海外からの雑貨や食品を扱う貿易商社H社は取引先より韓国産酒類の輸入を代行してほしいと頼まれた。
Ⅲ:ロシアに生活雑貨や日用品を輸出しているZ社は、ロシアには無いソフトなアルコール飲料として梅酒が好まれるると知り、ニーズがあると予想し、輸出する事にしました。
Ⅳ:加工食品を製造販売しているY社はアメリカにも輸出しております。アメリカの主要取引先が勧めてくれたカルフォルニアのワイナリーのワインが日本ではまだ販売されていないと知り、自社で輸入し取引先飲食店に販売することにしました。
洋酒卸売業免許でも輸入できる
洋酒卸売業免許を取得すれば、輸出入酒類卸売業免許が無くても自己が輸入したものを卸売りできます。国内仕入れの外国産・国産の洋酒の卸売りもできますので、輸出入酒類卸売業免許より広範な取引ができる免許です。ただし、輸出入酒類卸売業免許に比べて洋酒卸売業免許では三年以上の酒類販売の実績が問われます。酒類販売業に新規参入する場合は、洋酒卸売業免許の取得が困難なため輸出入酒類卸売業免許で実績を重ねてから洋酒卸売業免許を取得することが望ましいです。
小売免許での酒類販売経験や食味調味料の販売実績などあれば、輸出入酒類卸売業免許ではなくいきなり洋酒卸売業免許を取得することをお勧めします。尚、酒類を輸出する場合は、実績経験に関係なく酒類卸売業免許を取得してください。
輸出入酒類卸売業免許申請においての必要書類
輸出入酒類卸売業免許の申請には国税庁所定の申請書類書、販売場にかかわるもの、申請人にかかわるものに別れます。主な書類は以下の通りです。
- 国税庁所定の書類
- 酒類販売業免許申請書
- 販売場の敷地の状況
- 建物等の配置図
- 事業の概要
- 収支の見込み
- 所要資金の額及び調達方法
- 販売場にかかわるもの
- 土地及び建物の登記事項証明書
- 建物賃貸借契約書(適宜使用承諾書)
- 申請人にかかわるもの
- 履歴書(個人、法人役員全員)
- 免許要件誓約書
- 住民票(個人、法人(登記事項証明書)
- 現行定款(法人)
- 最終事業年度以前3事業年度の財務諸表(法人)
- 所要資金の額及び調達方法
- 都道府県及び市区町村が発行する納税証明書
- 所要資金を証明するもの
- 輸出入酒類卸売業免許特有のもの
- 取引承諾書
- 扱う商品の成分などが表示されたもの
輸出入酒類卸売業免許の交付までに要する期間
輸出入酒類卸売業免許申請後の審査期間は概ね1ヶ月から2ヶ月です。申請案件ごと個別に審査されますので、不足の書類や申請内容に補正がある場合などは審査の期間は長くなります。また、申請までの書類の作成に三週間ほど要します。申請時の状況により証明書の発行→、法務局での登記変更、た販売場所有者からの書類の受け取りなどにもさらに時間がようすることも予想されます。
輸出入酒類卸売業免許を取得するには具体的にどうすればいいの?
免許の取得までの流れ
免許取得の申請先は酒類販売場住所地をを管轄する税務署です。審査は2ヶ月ほどで、審査が完了しましたら免許通知書が交付されます。通知日以降に営業ができます。
STEP1 |
税務署での事前相談 酒類指導官設置税務署にて事前相談をし、要件の確認や提出書類などについて指導を受けます。 |
STEP2 |
書類の収集・作成 書類の作成・収集を経て、申請者が署名押印します。 |
STEP3 |
税務署への申請 所在地管轄の税務署にて申請します。申請書のコピーを同時に提出し、申請受付印をもらって控えにしておきましょう。(二ヶ月ほどの審査期間中、税務署より追加の資料提出などに対応しなければなりません。)。 |
STEP4 |
免許通知書の交付 税務署より免許交付の通知がありましたら、申請者は税務署に出向き交付式に望みます。免許の通知の際に登録免許税を収めます。必要であれば蔵置所設置報告書も提出してください。 |
STEP5 |
酒類販売の開始 免許交付後も帳簿の記載義務や各種関係法令に基づいた順守事項を守り、営業を行ってください。 免許交付後の解説 |
税務署に何度も行かなければならないの!?
免許取得手続き代行
勝山兼年行政書士事務所では、依頼者様に成り代わって、税務署での免許申請手続きを代行させていただきます。 弊所にご依頼いただければ書類作成・収集、税務署での申請、免許交付後に必要な手続きのサポートを致します。免許交付式まで依頼者様が税務署に出向く必要は一切ございません。
免許取得代行のながれ
- 審査において酒類の販売経験は問われないが、貿易実務についての知識があることを問われる。
- 自己が輸入しものしか扱えないので、国内仕入れで卸売をする場合は洋酒卸売業免許の取得が必要となる。
- 自己が小売販売する場合は輸入をしても輸出入酒類卸売業免許は不要。
- 申請内容により輸出のみ、または輸入のみと制限される場合がある 。