酒類販売業免許の種類について

最終更新日:2024年8月30日   行政書士 勝山 兼年





販売先や品目により取得できる免許が区分されています

 酒類販売業免許は、扱う品目、販売先形態、販売方法などで免許の種類が異なってきます。適正な免許の交付を受けなければ販売業の免許を受けずに販売業をしていることになりかねません。大きくは小売業免許と卸売業免許に別れます。ちなみに、レストランやバーなど飲食店に販売する免許は小売業免許です。




 税務署での免許の交付要件に「酒類を継続的に販売するために必要な資金、販売施設及び設備を有していること」とあります。店頭販売のみの施設及び設備しかないのに、将来のために同時に通信販売の免許を申請しても、それらの準備ができていなければ免許は付与されません。免許申請は異なる種類の免許を同時に申請することはできますが、その場合は施設及び設備、資金について要件を満たしていなければならないのです。




小売業免許と卸売業免許の違い

 販売先によって免許の種類が異なります。小売業免許は消費者と飲食店営業許可を持って営業している飲食店などに販売するための免許です。一方、卸売業免許は酒類免許を持って営業している事業者に販売する免許です。卸業免許だけでは小売業免許をもっていなければ消費者には販売できません。その逆も然りです。
  例えば、自己が海外から酒類を輸入した場合であっても、酒類販売事業者に卸売をするのでしたら輸入酒類卸売業免許が必要です。インターネットなどで消費者に販売するのであれば通信販売酒類小売業免許となります。例え自己が輸入した場合した場合であっても、輸入酒類卸売業免許が取得できるわけではないのです。免許事業者にも消費者にも販売するのでしたら両方のの免許を取得しなければなりません。

  • 自己が輸入したワインを酒屋に卸売をする→輸入酒類卸売業免許が必要!
  • 自己が輸入したワインをECサイトに出店販売する→通信販売酒類小売業免許が必要!

扱い品目ごとの違い

  • 洋酒のみを扱うのとそれ以外も扱うのでは卸売業免許の種類が違います。
  • 海外生産酒と国内生産酒では通信販売酒類小売業免許で認められていることが異なります。
  • 清酒や焼酎の卸売免許は全酒類卸売業免許のみでしか扱えません。

販売先形態ごとの違い

  • 酒店やコンビニエンスストアなどの免許業者に酒類を販売できるのは卸売業免許のみです。
  • レストランやバー、居酒屋などの飲食店に酒類を販売できるのは小売業免許のみです。
  • 自己が輸入したものであっても、免許業者と飲食店の両方売るには輸出入酒類卸売業免許と一般酒類小売業免許が必要です。


販売方法

  • 二都道府県をまたがって小売販売する場合には通信販売酒類小売業免許が必要です。
  • 配達専門で店頭販売をしない場合は、一般酒類小売業免許で足ります。
  • 店頭販売と、二都道府県をまたがって配達する場合は一般酒類小売業免許と通信販売酒類小売業免許が必要です。
  • イベントや催事会場などで短期間だけ酒類を販売するのは期限付酒類小売業免許が必要です。


酒類販売業免許の状況別事例

輸入したワインを
・自社で消費者に直接販売する。 ・レストランなどの飲食店に販売する。 ・酒屋や量販店に卸売りをする。
 一般酒類小売業免許

・自社でで輸入した海外産の酒類を直接消費者や飲食店に販売する場合は一般酒類小売業免許です。

 一般酒類小売業免許でも輸入することができます。逆に輸出入酒類卸売業では消費者や飲食店への小売りはできません。

 輸出入酒類卸売業許

・酒類小売免許業者に販売できるの酒類卸売免許業者でなければなりません。

消費者、飲食店業者、小売免許業者全てに販売したい。
一般酒類小売業免許輸出入酒類卸売業許がともに必要です。
事例.1 海外からワインを輸入して販売したい。
ワインの仕入れは
・自社で輸入したものだけを扱う。 ・国内産の他、他社が輸入したものも扱いたい。
 輸出入酒類卸売業

・自社でで輸入した海外産の酒類だけを卸売りするのでしたら輸出入酒類卸売業でできます。

 洋酒卸売業免許

・自社輸入以外の酒類を取り扱う場合は洋酒卸売業免許が必要です。

自社輸入、国内産、他社輸入の酒類全てを販売したい。
 

洋酒卸売業免許があれば足ります。しかし、洋酒卸売業免許の取得要件には酒類販売についての経験が問われます。それまでに酒類の取り扱い経験がないのであれば、輸出入酒類卸売業免許を取得しその範囲内で実績を積み上げ、三年後に洋酒卸売業免許を取得することをお勧めします。

事例.2 ワインを卸売りしたい。

買い取ったお酒を
・店頭だけで販売する。 ・オークションサイトに出品する。 ・自社のWebサイトを使って通販する。
 一般酒類小売業免許

・コンビニや量販店で酒類を販売するのと同じ形態です。

 通信販売酒類小売業免許

・オークションサイトに酒類を出品する場合、業としてするなら免許が必要です。

店頭販売、Webサイトでの通販もしたい。。
一般酒類小売業免許(通信販売を含む)の免許が必要です。
事例.3 リサイクルショップが買い取ったお酒を販売したい。

酒類販売業免許区分と意義

 酒類販売業免許は酒類の販売先によって2つの区分に分類されます。

酒類小売業免許

一般消費者、料飲店営業者(酒場、料理店など酒類を専ら自己の営業場において飲用に供する営業を行う者)又は菓子等製造業者(酒類を菓子、パン、漬物等の製造用の原料として使用する営業者)に酒類を販売するために必要な免許。

酒類卸売業免許

酒類販売業者や酒類製造者に酒類を販売するために必要な免許。





酒類販売業免許種類

酒類販売業免許 酒類小売業免許 一般酒類小売業免許
通信販売酒類小売業免許
特殊酒類小売業免許
期限付酒類小売業免許
酒類卸売業免許 ビール卸売業免許
全酒類卸売業免許
洋酒卸売業免許
輸出入酒類卸売業免許
店頭販売酒類卸売業免許
協同組合間酒類卸売業免許
自己商標酒類卸売業免許
特殊酒類卸売業免許
その他酒類販売業免許 酒類販売代理業免許
酒類販売媒介業免許

免許種類ごとの詳細

 販売する酒類の範囲や販売方法によって以下の種類に分れます。

酒類小売業免許

消費者、料飲店営業者又は菓子等製造業者に対し、酒類を継続的に販売することを認められる酒類販売業免許。

一般酒類小売業免許

販売場において原則すべての品目の酒類を小売することができる免許。


通信販売酒類小売業免許

2都道府県以上の広範な地域の消費者を対象としてカタログ送付やインターネット等の方法により一定の酒類を小売することができる免許。


特殊酒類小売業免許

酒類の消費者等の特別の必要に応ずるために酒類を小売することができる免許。

酒類卸売業免許

酒類販売業者又は酒類製造者に対して酒類を継続的に販売することを認められる酒類販売業免許。

全酒卸売業免許

原則としてすべての種類の酒類を販売することができる免許。

ビール卸売業免許

ビールを販売することができる免許。

洋酒卸売業免許

果実酒、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、発泡酒、その他の醸造酒、スピリッツ、リキュール、粉末酒及び雑種を卸売することができる免許。


輸出入酒類卸売業免許

輸出される酒類、輸入される酒類または輸出される酒類及び輸入される酒類を卸売することができる免許。


店頭販売酒類卸売業免許

自己の会員である酒類販売業者に対し店頭において酒類を直接引き渡し、当該酒類を会員が持ち帰る方法により酒類を卸売することができる酒類卸売業免許。


協同組合員間酒類卸売業免許

自己が加入する事業協同組合の組合員に対して酒類を卸売することができる酒類卸売業免許。

自己商標酒類卸売業免許

自らが開発した商標又は銘柄の酒類を卸売することができる酒類卸売業免許。


特殊酒類卸売業免許

酒類事業者の特別の必要に応ずるため酒類を卸売することを認められる酒類卸売業免許

  • 酒類製造者の本支店、出張所等に対する酒類卸売業免許。
  • 酒類製造者の企業合同に伴う酒類卸売業免許。
  • 酒類製造者の共同販売機関に対する酒類卸売業免許。
  • 期限付酒類卸売業免許

その他販売業 免許

酒類販売代理業免許

酒類製造者又は酒類販売業者の酒類の販売に関する取引を継続的に代理すること(営利を目的とするかどうかは問わない。)を認められる酒類の販売業免許。

酒類販売媒介業免許

他人間の酒類の売買取引を継続的に媒介すること(取引の相手方の紹介、意思の伝達又は取引内容の折衝等その取引成立のためにする補助行為をいい、営利を目的とするかどうかは問わない。)を認められる酒類の販売業免許。





まとめポイント
  • 大きく小売業免許と卸売業免許に分かれる。
  • 一般認識の酒の種類とは異なる。
  • 品目は原料や製造方法で分けられている。
  • 扱う品目により取得できる免許が決められている。




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