
免許事項追加の条件緩和申出
最終更新日:2023年9月9日 行政書士 勝山 兼年
免許の範囲を追加したい場合の手続きとは?
「指定されている品目以外の酒類を販売したい」、「輸入だけでなく輸出もしたい」など現在付与されている免許の条件を広げるためには、事後の申告ではなく「酒類販売業免許の条件緩和の申出」をする事になります。申出手続きですので、審査を経て通知があってから販売営業ができるのです。新規免許交付申請との審査においての違いは、決算については問われないことです。
例え直近の決算で債務超過になったとしても、そのことは問われません。しかし、納税証明書提出が求められる場合は国税・地方税の滞納があると申出は認められません。
条件緩和申出事例
- 一般酒類小売業免許に通信販売を追加する。
店頭での販売のみを営んでいたのを、インターネットなどで通信販売をすることになった。申請に際しWebサイトなどに「20歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準」に基づいていることを証明しなければなりません。
- 通信販売酒類小売業免許に店頭での販売を追加する。
一般酒類小売業免許の通信販売限定で営んでいたのを、店頭での販売もする事になった。販売場の使用権原や20歳未満の者の飲酒防止に関する取り組みを詳細に疎明しなければなりません。

- 通信販売酒類小売業免許の国産酒類の品目を追加する。
通信販売酒類小売業免許においては、国産酒に限って扱える品目に制限があります。品目を追加するには酒造会社が年間の醸造量が3,000キロリットル未満(品目ごと)である旨の証明書の添付が必要です。尚、国産酒のみであった場合に輸入酒を追加する場合は条件緩和の申出は必要です、すでに輸入酒での免許を付与されている場合には制限はありませんので、品目を追加しても条件緩和の申出の必要はありません。
- 一般酒類小売業免許で輸入した果実酒を飲食店に販売していたが、酒店への販売も始める。
自社が小売り販売する目的で、酒類を輸入したとしても輸出入酒類卸売業免許は必要ありませんが、酒販売店に卸売りをする場合は輸出入酒類卸売業免許が必要になります。輸出入酒類卸売業免許の交付要件には輸入の実績が求められますので、一定期間、一般酒類小売業免許で輸入の実績を積み重ねていることがポイントです。


- 輸入酒類卸売業免許で外国から輸入したワイン酒だけを扱っていたが、国産ワインの卸売も始める。
輸出入酒類卸売業免許では自社が輸入した酒類のみ扱うことができます。国産ワインや外国産であっても他社が輸入したワインも取り扱いたい場合は洋酒卸売業免許が必要です。洋酒卸売業免許の要件には酒類の販売経験が三年以上とありますので、輸出入酒類卸売業免許を三年以上継続してから申出できることになります。

- 輸入酒類卸売業免許や洋酒卸売業免許に一般酒類小売業免許を追加する。
卸売業免許酒店への販売のみだったのが、飲食店などにも販売するようになった場合は、店頭での販売はしなくとも一般酒類小売業免許も必要です。配達専門であれば未成年者の飲酒防止に関する取り組みについての疎明は少ないです。

- 既存の免許で決められた範囲をこえて営業する場合に条件緩和の申出が必要。
- 卸売免許や通信販売酒類小売業免許では品目を追加するときに条件緩和の申出が必要。
- 既存の免許が小売のみ又は卸売のみの場合にそれぞれを追加する時に条件緩和の申出が必要。