酒税法の罰則と免許取消事由
最終更新日:2024年8月30日 行政書士 勝山 兼年
酒税法違反をした場合のペナルティについて
罰則
- ①免許を受けないで酒類の販売業を行った場合
酒類の販売業免許を受けないで酒類の販売業をした者は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられることがあります(根拠法令等:酒税法第54条、第56条)。
- ② 現在付されている免許の条件に従わずに酒類の販売業を行った場合
免許に付されている条件に違反した場合は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金(根拠法令等:酒税法第58条)
- ③20歳未満の者自身が飲酒することを知りながら、20歳未満の者に対して、酒類を販売・供与した場合
50万円以下の罰金(根拠法令等:未成年者飲酒禁止法3条1項)
※①については、酒類を取り扱うことについて販売業免許が必要かどうか確認することです。②については条件緩和申請をすることで違反ではなくなりますので、新規の取引などをする場合には先に確認することです。③については酒類の販売の際に年齢確認を徹底してください。
取消事由(酒税法第14条1~3号)
- 偽りその他不正の行為により酒類の販売業免許を受けた場合
・・・免許等の要件各号のいずれかの事項について、故意にその事実を偽った等の不正行為 - 免許要件の酒税法第十条第三号から第五号まで又は第七号から第八号のいずれかに該当する者となつた場合
・・・酒類販売業者が未成年者飲酒禁止法(大正11年法律第20号)又は風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)の規定に違反し未成年者に酒類を販売又は提供したことにより罰金の刑に処せられた場合など - 二年以上引き続き酒類の販売業をしない場合
・・・2年以上の期間にわたって一度も業として酒類の販売をした事実がない場合など
二年以上にわたって酒類の販売をした事実がなければ、取消事由となります。酒類販売業免許業者には記帳義務があり、年度末に取り扱い数量報告書の提出義務があります。実績がないことも含めて報告しなければなりません。
事例紹介
- 買い取った酒類の販売先
貴金属買取店を経営するTさんは一般酒類小売業免許を取得して買い取った酒を店頭販売していましたが、思うように捌けず在庫が多量に残っていました。そこで、同業者のS社に話を持ち掛けてTさんの在庫を少し値段を下げてS社で引き取ってもらいました。S社も一般酒類小売業免許業者です。一般酒類小売業者に酒類を販売するには卸売免許業者となりますので、Tさんの行為は無免許での販売行為となってしまうのです。Tさんが酒類を販売できるのは一般消費者か料飲店のみです。酒類販売業者に売ってはいけません。また、Tさんが卸売業免許を取得しようとしても、仕入れ先業者からの承諾書を求められますので、買取専門での仕入れでは免許の取得は難しいでしょう。
- 輸入酒類卸売業免許で国内仕入れをしてしまった
通信販売をしているM社は、外国よりワインを輸入して卸売販売をしていました。M社の酒類販売事業を事情により、M社代表取締役と同一人が代表取締役を務めるS社に移譲して、酒類販売を継続することになりました。S社は輸入酒類卸売業免許を取得して営業を開始しようとしました。先ず、M社に在庫が残っていたため、S社は免許取得後、M社から酒類を仕入れて販売しようとしました。ところがS社の輸入酒類卸売業免許では他社が輸入した酒類を仕入れて販売することができません。M社の在庫を扱うことは無免許営業となってしまいます。そこで、S社では国内仕入れで卸売ができる洋酒卸売業免許を「条件緩和の申出」のより取得したうえで、M社の在庫を販売することになりました。
法人成りの取消申請
個人で酒類販売業免許を持っている者が、代表者となった法人に免許も移行した場合は、法人は新規の免許申請となり、同時に個人免許の免許取消申請書もしなければなりません。酒類販売営業を中断することなく、新規の法人免許を取得するためには、事前に酒類指導官と打ち合わせをしておきましょう。同じ酒類販売場で2つの免許は交付されませんので、個人での免許で登録されている販売場と同じ所での申請であり、法人での免許が交付され次第に個人御免許は取消をする旨を伝えておかないと、免許の審査をしてくれないからです。また、個人免許を取消しされた後に法人免許を申請しても、審査の間の1~2か月は営業ができなくなるからです。
- 付与された免許の範囲を超えて営業すると違反となる。
- 酒類を業として売っている事を知って、買取ると酒税法違反の幇助となり、買取った場合も違反となる。