酒類販売業免許質問集
最終更新日:2024年8月12日 行政書士 勝山 兼年
Q17: 酒類販売業免許の交付を受けました。免許交付通知書は店頭に掲示しなければなりませんか?また、免許通知書を紛失した場合は再発行されますか?
A:飲食店営業許可証や風俗営業許可証のように客の見える箇所での掲示義務はございません。大切に保管しておいてください。免許通知書は再発行されません。通知番号は管轄の税務署に問い合わせれば教えてもらえます。ただ、仕入れ先などとの契約の際に写しの提出を求められることもございますので、原本を紛失したときのためにコピーを取っておくことお勧めします。
Q18:個人で通信販売酒類小売業免許を受けて通販サイトを使って営業しています。この度、知人に通販サイトと営業権を譲渡することになりました。税務署にはどのような手続きが必要ですか?
A:相続以外で営業権や免許名義の変更などは認められておりません。知人の方が新規に免許交付申請をして免許の交付を受けるしかございません。現に稼働している通販サイトについては、レンタスサーバー業者などにドメインの使用権原が知人の方に移っていることを証明したものを申請の際に提出を求められます。
Q19:法人で食料品店を5店舗営業しております。一般酒類小売業免許を取得すれば全ての店舗で酒類を販売してもよいのですか?
A:酒類販売業免許は人(法人)と販売場(店舗)がセットで取得しなければなりません。すべての店舗で酒類販売業免許を取得したいのでしたら、5度の免許申請が必要です。同時に申請してもかまいませんが、店舗の所在地を管轄する税務署ごとに申請することになります。審査もそれぞれの税務署の指導官が担当することになりますので、店舗ごとに個別に審査されるのです。
Q20:食品類を物販するための会社を新たに設立しました。一度も決算期を迎えていなくても免許の交付申請はできますか?
A:設立間もない会社でも申請は可能です。決算を一度も迎えていない場合は決算書類の提出不要です。事業開始届を販売場所在地の都道府県、市区町村にすれば納税証明書が発行されます。必ず法人名義で銀行口座を開設してください。また、販売場の使用権原が法人にあることを証明しなくてはなりません。
Q21:酒類販売業免許の有効期限はありますか?一定期間ごとに免許更新などの手続きは必要ですか?
A:有効期限はありません。免許更新の必要もありません。ただし、免許は人(法人)と建物に対して付与されていますので、どちらかがなくなれば免許は無くなります。免許の内容に変更があれば、適宜申出をしなければなりません。
Q22: 通信販売酒類小売業免許で販売できる酒類に範囲はありますか?
A:通信販売酒類小売業免許では取扱いできる酒類に範囲があります。海外産輸入酒類には制限はありません。国内製造酒類では大手メーカーのものは扱えません。大手メーカーとは年間の製造量が3000KL以上を生産しているメーカーです。大手メーカー以外の製造のものでも制限があります。取扱う品目ごとに1メーカーから課税移出数量証明書を免許者あてに発行してもらわないといけません。通信販売酒類小売業免許の交付の際に通知書に取扱いできる。品目が記載されます。通知書記載以外の品目を取扱いしたのでしたら、メーカーより課税移出数量証明書を発行してもらい、条件緩和の申出をすることになります。
海外産輸入酒類→〇
国産大手メーカー製造酒類→×
国産大手メーカー製造酒類以外→課税移出数量証明書発行で〇
Q23:酒類の通信販売では大手メーカー製造の商品は取扱えないと聞きましたが、実際販売している業者を多数見かけます。これらはすべて違法業者なのですか?
A:違法ではありません。平成元年以前に交付された酒類販売業免許には、通信販売の区分はなく販売方法や取扱える酒類の範囲に制限がなかったのです。法律は遡及しないのが原則ですのであとからできた制限(法律)は適用されず、通信販売できるのです。免許業者が法人であれば個人とは異なり亡くなる事もありませんので、現在でも存在するのです。平成元年以前からの免許保持法人を俗にいうM&Aをすれば制限なく通信販売ができることになります。また、移転許可申請することにより販売場も移転できます。
Q24:酒類を転売するのも免許が必要ですか?
A:酒類販売業免許の対象となるかは、買い取った酒類を転売することではなく、業として継続的に販売するのであれば免許の対象となるのです。購入した酒類を料飲せず、ネットオークションやリサイクルショップで買い取ってもらうなどでしたら免許の対象にはなりません。しかし、販売目的で購入し、継続的に同様の行為を行うと免許対称となる可能性が高いです。尚、免許を取ったうえであっても一般酒類小売業免許業者から販売目的で購入することは違法です。これは販売する業者が卸売業者でないためであり、販売するほうが無免許となるからです。
Q25:ノンアルコールビールの販売には免許が必要ですか?
A:酒税法における酒類とは、アルコール分1度以上の飲料です。ノンアルコールビールは酒類には分類されず、よってノンアルコールビールの販売のためには販売免許がなくともできます。
Q26: 小売業免許と卸売業免許を併用して取得、営業できますか?
A:できます。それぞれ免許要件が異なりますが、クリアできていれば免許は交付されます。登録免許税は卸売業免許の9万円を納付すれば足ります。小売業免許の3万円との合計12万円ではありません。
例えば輸出入酒類卸売業免許を取得して、海外産ワインを日本で販売する場合は消費者や飲食店などに販売するのであれば一般酒類小売業免許だけでできます。また、酒類免許業者に卸売する場合は輸出入酒類卸売業免許だけで可能です。酒類販売業者への卸売と消費者などへの小売をするば場合は両免許を併用して営業することになるのです。
海外産輸入酒類→消費者・飲食店に販売→一般酒類小売業免許
海外産輸入酒類→酒類販売業者に卸売→輸出入酒類卸売業免許
海外産輸入酒類→消費者・飲食店に販売及び酒類販売業者に卸売→一般酒類小売業免許と輸出入酒類卸売業免許の併用
Q27:酒類免許取得に際して税金はいくらかかりますか?
A:免許が交付される際に登録免許税を収めなくてはなりません。納付するのは免許を申請する段階ではなく、審査がおわり免許が交付される最終段階です。ですので免許が不交付になったり、審査の途中で申請を取り下げたりすれば登録免許税は納付する必要はありません。登録免許税の額は2つに分別されます。卸売業免許で9万円、小売業免許で3万円です。卸売、小売同時に免許が交付されても9万円です。小売免許業者が卸売業免許を追加(条件緩和の申出)で取得した場合は差額の6万円の納付で足ります。
卸売業免許→登録免許税:9万円
小売業免許→登録免許税:3万円
卸売業免許、小売業免許を同時 →登録免許税:9万円
Q28:酒類販売業免許には期限や定期的な更新はありますか?
A:免許交付後に期限などは無く、よって飲食店営業許可のような更新手続きなどもございません。免許は建物と人(法人)がセットでなされています。人(個人免許)が死んだり、建物が無くなれば免許も取り消しとなります。ただし、免許の相続や販売場の移転許可などをすれば免許が継続されるのです。また、免許の内容に変更があれば、「異動申告の申出」や「条件緩和の申出」をする必要はあります。