個人と法人との免許申請の違い
最終更新日:2025年1月26日 行政書士 勝山 兼年
酒類販売業免許を個人と法人のどちらで取得するかの判断!
酒類販売業免許は人と場所をセットとなして交付されます。人とは個人、法人を問いません。ですので、個人の方が、酒類販売を起業しようと考え、免許新申請するにあたり個人でも免許申請ができるのかについては、問題なく個人での免許申請することはできます。一方、法人を設立したうえで免許申請することもメリットがあります。
個人、法人どちらで申請するべきかは、将来の事業形態や拡大予定などを考慮すればよく、どちらが免許を取得難度などはそれほど差はありません。免許取得のための費用なども法人設立の費用を除いけば殆ど変わらないのです。
ただし、免許取得後の事業継続において個人免許者が法人成りするなどした場合は、新規の申請となりますので申請手続きの労力や証明書の取得費用、登録免許税がその都度、支払うこととなります。ですので将来、法人化する予定があるのでしたら、最初から法人設立のうえ免許申請する方がよいでしょう。
個人と法人との違いと判断の基準
酒類販売業免許の取得を個人か法人でするかを迷っている場合の判断準は、免許申請の難易度ではなく、免許取得後の安定した事業継続を考慮してください。会社員の方が副業で始める場合や、酒類販売と関連のない仕事を個人事業でなされているのであればあえて法人を設立して免許を取得するメリットはありません。一方、酒類販売以外にも他の商品を扱っていたり、販売場を増やすなど将来の事業拡大を明確に企画しているのであれば、法人を設立したうえで免許を取得した方が、諸々の手続きが進めやすいでしょう。免許を取得するとは、免許申請者名義で販売場の使用契約をしたり、商品の仕入をすることになります。個人事業主では、第三者からの信用が法人より劣るからです。
免許の要件
経営基礎要件として決算書を提出することになりますが、新設の法人で最初の決算期を迎えていないのであれば決算内容は審査の対象外です。個人申請の場合は決算をしていても、赤字決算でも審査の対象外です。
個人で申請する場合、完全な個人事業主ではなく会社勤務の方が、副業で免許申請をする場合、会社の就業規則に副業禁止事項があれば、別途、勤務先に対して酒類販売業を行う旨の承諾を求めらます。
提出書類
個人申請と法人申請でのそれぞれの税務署提出物は都道府県、市区町村の納税証明書や決算書類、法人の取締役を含む申請者の略歴書などは双方必要ですが、市区町村発行の住民票と法務局発行の登記事項証明書などが異なります。
- 個人
- 住民票
- 確定申告国控え(個人事業主)
- 源泉徴収票コピー(給与取得者主)
- 法人
- 法人登記事項証明書
- 定款コピー
メリットとデメリット
- 個人のメリット
- 法人設立費用はかからない。
- 赤字決算でも免許取得可能!
- 法人のメリット
- 将来の事業拡大に対応しやすい。
- 会社ごと他者に売却できる。
- 個人のデメリット
- 信用力が劣るので事業拡大に対応しにくい。
- 法人成りする場合は、新規申請の費用がかかる。
- 法人のデメリット
- 法人設立費用はかかる。
- 経営基礎要件で免許取得ができない場合もある。
個人免許者の法人成り
個人で酒類販売業免許を取得し、順調に事業が拡大してきたので法人成りをして事業を継続する場合は、個人と法人との間で酒類販売業免許を譲渡したり、引き継いたりすることは認められていません。あくまでも法人として新規の免許申請となります。
ただ、同一の販売場で別の酒類販売業免許が交付されることはありませんので、個人免許については法人免許の交付され次第、個人免許を取り消しをすることを前提にして申請することになります。この場合、免許申請後であっても個人免許での営業は認められますので、審査の期間中に休業することなく経済的な損失は無いのです。
休眠会社を使っての法人成り
個人免許業者が法人成りするにあたり、休眠会社を譲受け、役員の交代や事業目的の追加のみで登録免許税などの費用を抑えて法人の代表者として申請する場合に気を付けなければなりません。
経営基礎要件においての直近3期分の決算内容が審査の対象となるます。休眠会社であっても毎年の決算書の作成は必要です。収益が無く、家賃などの支出ばかりで赤字になっている場合や資本金が少額で債務超過になっている場合などは、要件が満たされないとして免許が交付されないのです。休眠会社であっても決算書の内容を確認したうえで免許申請しなければならないのです。
- 個人も法人も申請の難易度は同じ。
- 個人からの法人成りは新規申請。
- 休眠会社を使っての申請は決算内容がポイント!