卸売業免許に必要な取引承諾書

最終更新日:2024年9月6日   行政書士 勝山 兼年





卸売業免許申請では取引先があることを明確に疎明しなくてはなりません。

 輸出入酒類卸売業免許や洋酒卸売業免許などの卸売業免許申請では、申請者が免許を付与されて直ぐに営業を適切に始める能力と意思があることの具体的な疎明資料として、売買契約書などの提出を求められます。
 しかし、実務上は申請者に免許がなされていない状態で、取引相手側も正式な売買契約を交わすことに抵抗があります。そこで、免許申請手続き上として、取引を承諾する旨の内容の書類を取引相手に署名してもらい税務署に提出するのです。
また、取引承諾書の内容によって、実現可能な酒類販売計画がなされているか判断されます。仕入先が取扱っている品目に限定されて免許は交付されるのです。





取引承諾書は誰からもらうのか!?

適正な取引先とは

 取引承諾書に署名をしてもらう相手は仕入先、販売先両方からです。取引先が海外の会社であっても同様です。日本国内の仕入先については御売業の適正な免許を持っている者でなくてはなりません。酒類販売業免許業者であってもその者が小売業免許しか無いのであれば、適正な仕入れ先とは見なされません。一方、海外の仕入れ先については各国ごとに酒類販売の制度が異なりますのでライセンスの有無を問われることはありません。
 また、販売先も同様に国内業者については免許保有者でなくてはならず、個人消費者や飲食店業者では適正な販売先とは見なされません。



 酒類の取引先の免許の内容や能力により、申請した内容の免許が交付されるか判断されます。税務署で免許申請を受付けてもらい、審査の段階で酒類指導官より仕入先又は販売先が適正な免許がないとの指摘を受ける場合があります。この場合についての対処の方法は、①別の適正な取引先に承諾書を貰う。②指摘を受けた取引先に適正な免許を取得してもらう。どちらもできない場合は免許を取り下げる、またはT申請内容とは異なった免許にするよう指導されます。



取引先の免許の内容によって、申請内容を指導された事例
卸売業免許を持たない事業者を仕入先にした。

 貿易業を営むG社は、海外に日本の清酒などを輸出する計画をし、輸出酒類卸売業免許の申請をしました。ところが仕入先として取引承諾書に署名をもらった相手は、小売業だけを営む街の酒屋で卸売業免許を持っていませんでした。税務署酒類指導官の指摘を受け、卸売業免許業者を探し、取引承諾書に署名をもらい、その取引承諾書を先のものと差し替えることで輸出酒類卸売業免許が交付されました。


卸売業免許を持たない輸入業者を仕入先にした。

 F氏は海外旅行で飲んだワインを気に入り、帰国後も同じ銘柄のワインを購入し飲んでいました。F氏はなじみのレストランで取扱うよう勧めたところ、レストラン側からF氏が販売するのであれば取り扱うと約束してくれました。F氏は一般酒類小売業免許を取得して、レストランへの販売を計画し、普段そのワインを購入してるR社に販売するための購入を打診したとこころ、承諾の返事が来ました。しかし、R社は自己で輸入した酒類を小売りしかしておらず輸入酒類卸売業免許は取得していませんでした。そうとは知らずF氏が免許申請をしたところ、担当の酒類指導官からR社は卸売免許がないので、適正な免許業者に仕入先を変えるか、R社が輸入酒類卸売業免許を取得しないと免許が交付ができないとの指導がありました。F氏が取扱いたいワインは日本ではR者しか輸入しておりません。そこで、R社の理解もあり、条件緩和の申出を経てR社は輸入酒類卸売業免許を取得しました。時間は通常より経過しましたが、F氏の一般酒類小売業免許も交付されました。


仕入先製造の品目に合わせて免許申請内容を変えた。

 酒類の通信販売業を営むL社は、それまで果実酒だけだったものを、取扱い品目を増やすための条件緩和の申出を行いました。清酒や単式蒸留焼酎、リキュールなどとともにビールにつても製造元より課税移出証明書の発行を受けて申請しました。ところが、担当の酒類指導官より、ビールの仕入先として課税移出証明書に記載されている会社はビール製造免許はなく、発泡酒の製造業者であると知らされました。指導官からはビール製造免許業者に仕入先を変えるか、申請内容を発泡酒に修正するかしないと免許通知できないと指導されました。L社は早く品目追加の条件緩和を受けて、販売を始めたいと判断しました。そのためビールの販売は断念し、申請内容を修正したうえでビール以外の品目追加の条件緩和の通知を受けました。




取引承諾書の記載内容

 取引承諾書には法令上の決まった様式はございませんが下記の項目を記載しうることをお勧めします。しかし、記載内容によって交付される免許に制限がなされる場合がありますので、できるだけ制限を受けない内容にすることが必要です。

  • 宛名(免許申請者)
  • 「貴社が○○卸売業免許を取得された場合には、下記品目を取引きすることを承諾いたします。」のどの文言
  • 取引品目約
  • 日付
  • 取引先の名称などを記名押印してもらう。

 海外の取引先の場合は英文で作成してもかまいません。この場合は内容が理解できるように和文も添付してください。


買取リサイクル店の卸売業免許

 買取リサイクル店を営む会社が、買取った酒類を業者に卸売する際に洋酒卸売業免許を取得する必要があります。仕入先については買取希望の片不特定多数の一般の者が対象となりますので、取引承諾書は提出出来ません。税務署指導官も状況は理解してくれますのでT戻出不要です。ただし、販売先については必ず提出しなくてはなりません。販売先に免許がある事は必須です。



取引承諾書の相手と取引しなかった場合はどうなる!?

承諾書に記載されているものとは取引をしなった場合について

 免許が交付された後に、記帳義務があり卸売免許業者は品目数量と共に仕入先と販売先の名称を記載しなくてはなりません。承諾書の相手と一度も取引をしなった場合は免許申請の時点で虚偽の記載をしたものとされる恐れがあります。合理的な説明ができればいいですが、できれば少量一回でも取引しておけば問題にされることはないでしょう。



まとめポイント
  • 卸売業免許申請には取引承諾書の提出が必須。
  • 取引承諾書は適正な免許業者からのものでないといけない!
  • 取引承諾書に記載された品目しか扱えない制限のある免許となる。



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