輸出入酒類卸売業免許と洋酒卸売業免許の違いは!?
最終更新日: 2024年9月13日 行政書士 勝山 兼年
酒類卸売業免許とは
消費者や飲食店などに販売する免許は小売業免許です。一方、卸売業免許は酒類販売業者や酒類製造業者などの免許業者に対して販売できる免許です。卸売業免許があるからと言って消費者などに対して小売することはできません。
尚、レストランや居酒屋、ラウンジなどに大量に酒類を販売する場合であっても小売業免許となり、卸売業免許では販売できませんのでご注意ください。
輸出入酒類卸売業免許とは
「自己が輸出する酒類、自己が輸入する酒類又は自己が輸出入する酒類を卸売することができる」
他者が輸入したものは外国産酒類であっても取扱いできません。品目に制限はなく大手国産メーカー品でも取扱えます。尚、自己が輸入したもので、自己が小売販売する場合は輸出入酒類卸売業免許の取得は必要ありません。
洋酒卸売業免許とは
「果実酒、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、発泡酒、その他の醸造酒、スピリッツ、リキュール、粉末酒及び雑酒の全て又はこれらの酒類の品目の1以上の酒類を卸売することができる」
国産外国産を問わず洋酒と言われる10の品目のみ扱える卸売業免許です。この免許で該当品目の酒類を扱うのであれば、輸出入酒類卸売業免許が無くても、酒類の輸出入は可能です。
違いの詳細
- 扱える品目と範囲
輸出入酒類卸売業免許には品目に制限はありません。一方、洋酒卸売業免許は洋酒10品目(果実酒、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、発泡酒、その他の醸造酒、スピリッツ、リキュール、粉末酒及び雑酒)のみに制限されています。販売できる範囲は洋酒卸売業免許では国産、外国産の区別はありません。また、国内の大手メーカー(酒類の品目ごとの課税移出数量が、全て3,000キロリットル以上である酒類製造者)であっても取扱えます。
- 免許取得要件
洋酒卸売業免許では酒類の販売実務経験3年以上を厳格に問われます。酒類販売管理研修を受講しても緩和されません。一方、輸出入酒類卸売業免許では酒類の販売実務経験は問われませんが、貿易実務経験を問われます。
- 販売先
どちらの免許も消費者に対しては販売できません。
扱える品目 | 範囲 | 消費者への販売 | 経験年数 | その他要件 | |
---|---|---|---|---|---|
輸出入酒類卸売業免許 | 制限無し | 自己が輸出入するものだけ | × | 無し | 貿易実務経験必要 |
洋酒卸売業免許 | 洋酒のみ | 国産外国産と問わず | × | 酒類販売経験3年以上 | 特別なことはなし |
免許取得の実例
- 海外産ワインを卸売する場合
自社で輸入するワインであれば、輸入酒類卸売業免許を取得することになりますが、他の商社が輸入したものを取扱うのであれば洋酒卸売業免許が必要となります。
- 海外産ビールを卸売する場合
ビールは洋酒ではありませんので、自社で輸入するのであれば輸入酒類卸売業免許を取得することになります。外国産ビールを国内仕入れする場合は、ビール卸売業免許が必要となります。
洋酒卸売業免許の条件緩和の申出
輸入酒類卸売業免許で海外からの洋酒を卸売をしている業者が、国内商社などからも洋酒を仕入れて卸売をする場合は洋酒卸売業免許を条件緩和の申出をして取得しなくてはなりません。この場合、3年以上の酒類販売経験が問われますので、輸入酒類卸売業免許を取得してから3年以上経過してからの手続きとなります。
事例:酒類販売未経験の会社が「輸入酒類卸売業免許」を取得して酒類販売の実績を積み重ねる。3年以上経過したところで「洋酒卸売業免許」の条件緩和の申出をする。免許が緩和されれば国内で仕入た洋酒の卸売販売を始めることができる。
- 輸出入酒類卸売業免許では自己が輸入したものだけしか扱えない。
- 洋酒卸売業免許では国内産海外産問わずに扱うことができる。
- 輸出入酒類卸売業免許では品目に制限はないが、洋酒卸売業免許では洋酒に限られる。
- 洋酒卸売業免許では3年以上の販売経験が取得要件である。