酒類販売業免許質問集

最終更新日:2024年8月12日   行政書士 勝山 兼年





Q29:インターネット上では大手メーカー製の酒類を堂々と販売しているサイトを見かけます。通信販売酒類小売業免許では課税移出量3000KL未満の製造量のメーカーのものしか扱えないと聞いていますが、違法な業者なのでしょうか?

A:違法でない場合もございます。 通信販売酒類小売業免許は平成元年に施行した法律の免許ですので、それ以前からの免許業者は制限を受けません。これを「法の不遡及」といいます。免許業者が法人であれば役員を変更したり、また、販売場の移転手続きをすれば、古い免許でも継続していけるのです。ですので平成元年以前からの免許のある法人が高額でM&Aされています。このような免許を俗にゾンビ免許と言われています。


Q30:設立10年の法人ですが、酒類販売業免許を取得するにあたり、直近の決算が赤字です。このような場合でも免許を取得できますか?

A:赤字があるだけで判断されるわけではありません。審査の対象は直近3期分の決算内容です。

  • 最終事業年度における確定した決算に基づく貸借対照表の繰越損失が資本等の額(注)を上回っている場合
  • 最終事業年度以前3事業年度の全ての事業年度において資本等の額(注)の 20%を超える額の欠損を生じている場合

(注) 「資本等の額」とは、資本金、資本剰余金及び利益剰余金の合計額から繰越利益剰余金を控除した額をいいます。

上記に当てはまる場合は欠格要件となり免許の交付がなされません。


Q31:清酒の通信販売酒類小売業免許を取得するために、仕入れ先より証明書の発行を受けるように指示されました。この証明書は取引承諾書のことでよいのでしょうか?

A:取引承諾書のことではございません。通信販売酒類小売業免許で国産酒類で取り扱えるのは「酒類の品目ごとの課税移出数量がすべて3,000キロリットル未満」の製造者のもです。その旨の証明書を申請者宛に製造者より発行してもらってください。
 通信販売酒類小売業免許申請(条件緩和の申出の含む)の際税務署への提出しなければなりません。直接取引をする必要はありませんが、販売予定の酒類の製造元から申請者宛に発行してもらわないといけないのです。また、課税移出数量は酒類の品目ごとに必要です。製造元が複数の品目を製造していれば、その品目について一製造者から一部の発行ですみます。通信販売酒類小売業免許の場合は取扱い予定に品目が複数の場合、全ての品目の製造者を複数部用意することになるのです。


Q32:会社員をしながら副業としてオークションサイトで酒の転売をしたいと考えています。個人事業主として酒類販売業免許は取得でいますか?

A:個人事業主でも免許取得は可能です。ただし、勤務先の就業規則に副業が禁止されていないことが前提です。もしくは勤務先より副業を承諾する旨の証明をもらう必要があります。副業禁止については一切の副業を禁止している場合と競業他社での就業や勤務先と同じ業務だけを禁止している場合があります。後者は通販サイトの運営会社でシステムエンジニアとして勤務している者が、個人で通信販売酒類小売業免許を取ってインターネット通販をする場合などが当てはまります。



Q33:以前無免許で酒類の販売をしたことを税務署より注意されました。このような違反をしたことで免許の取得は難しいのでしょうか?

A:違反したことをのみをもって免許の欠格要件とされるものではありません。罰金などの処分をうけて欠格要件となるのです。また、処分の日から3年以上経過すれば免許取得も可能です。酒類を無免許で販売しても、初めてで数量が多くなければ税務署は指導で済ますようです。免許もなく酒類を販売していることを税務署より指摘され場合、素直に指示に従いましょう。指導を無視していれば税務署には質問検査権があり、検査を拒めば罰則があるのです。この場合は無免許での販売に加えての違反となりますので、指導だけでは済まないことになるのです。


Q34:酒類販売業免許業者である法人を2つに分割することになりました。分割後の法人の両方が免許業者になれるのですか?

A:両方の法人が免許業者になることはできません。酒類販売場を承継する法人のみが免許も承継することができます。手続きについて、承継会社は、分割契約の効力発生日から30日以内に、販売場所轄税務署長に「酒類販売業免許承継届出書」を提出します。要件は承継会社が酒税法第10条に規定する販売業免許の要件を満たしていること、それまでの販売場を引き続き使用すること、それまでの酒類販売業免許に係る権利義務の全てを承継会社に承継させる事です。


Q35:酒類販売業免許業者が販売場以外の倉庫に酒類を保管することになりました。手続きは必要ですか?

A:手続きが必要です。販売場住所地を管轄する税務署に蔵置所設置報告書を提出してください。蔵置所設置報告書には蔵置所の名称及び所在地、設置する期間、構造及び管理の方法、酒類の範囲などを記載します。また、賃貸借契約書のコピーや蔵置所の位置を示す地図なども添付してください。審査などはありませんので、蔵置所に酒類を入庫しましたら速やかに販売場所轄の税務署に提出してください。




Q36:個人で酒類販売業免許を持っているのですが、この度知人に経営を譲渡しようと思います。酒類販売業免許の名義変更できますか?

A:酒類販売業免許の名義変更は認められません。知人の方が新規で酒類販売業免許を申請することになります。ただし、営業を引き継ぐ形にしたのでしたら、知人の方の免許が交付されると同時に元の免許を取り消しすることを税務署に事前に伝えておくことです。そうすれば、新規の免許が交付される前日まで、元の免許で営業できることになります。免許申請にあたって販売場の備品や在庫についての譲渡契約書や、販売場建物の賃貸借契約書を用意しなければなりません。



Q37:酒類販売業免許申請において過去二年分の都道府県及び市区町村からの納税について証明を提出するとのことですが、当社は一年前に本店を移転していますが、証明書は発行されますか?

A:下記内容の納税証明書は発行されます。

  • 1 過去2年間において凸凹市税について滞納処分を受けたことがないこと。
  • 2 現在において未納となっている凸凹市税がないこと。

 移転先の自治体で発行される納税証明書は滞納がないことと滞納について処分がないことを証明するものです。過去二年間適正に納税されている旨の証明ではありません。そこで、過去2年間をさかのぼり、納税していたすべての自治体から納税証明書の発行を受ける必要があります。





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