通信販売酒類免許の事例紹介

Ⅲ :ソムリエの資格を持つM氏は高級ホテルのバーに勤めております。自身の知識を活かしてワインのネット販売することにしました。
M氏は酒を販売したことがなく、通信販売酒類小売業免許を取得するに当たり、酒類販売管理研修を受講しました。過去に税金の滞納もなく人的要件は満たしています。
免許交付の所在地としての自宅は賃貸マンションですが、所有者に酒類販売場として使用することの承諾を得ることにしました。所有者は店頭販売をすることは他の入居者への迷惑になるとので控えてほしいと拒絶されましたが、インターネットで注文を受け付けるだけで、不特定多数の者が出入りする事はないと説明したところ、使用を承諾してくれました。

取扱品目は海外産果実酒(ワイン)のみですので、「課税移出数量が品目3,000キロリットル未満である酒類製造者である証明」は必要ありません。ただし、自身で輸入するつもりはありませんでしたので、仕入れ先になる酒類卸売免許を持つ商社との取引承諾書を書いてもらいました。
注文を受け付けつホームページについては、システムエンジニアの知人にWebサイトの制作を依頼しました。「20歳未満の者の飲酒防止」や「特定商取引に関する法律の消費者保護関係規定に準拠」した内容になるよう詳細に指示をしました。
その他、仕入れた酒を保管するには自宅が手狭なため、自宅から徒歩数分の亡き祖父母宅が空き家になっており、そこを酒類の蔵置所として届け出ることにしました。仕入れの一回当たりの発注は10ケースほどとなりますので、常に150~200本ほどの在庫を保管することになります。

書類を揃えて申請後、2か月後の免許が交付されました。現在M氏のWebサイトでは主にオーストラリアやニュージーランド産のワインが売られており、2千円から5千円の価格帯のものが主流です。Webサイトには銘柄ごとにM氏の味についての感想や、産地の情報などワイン愛好家が納得する解説がなされ、ソムリエとしての知識が存分に生かされています。
Ⅳ:海外産ワインだけをネット通販していたN社は、国産ワインも取り扱うことにしました。
海外産の酒類を通信販売することは、自社で輸入したものでなくても特に規制はありません。しかし、国内産で取り扱う事が出来るのは、小規模の酒造メーカーに限られます。N社の場合は仕入れる国産ワインのメーカーが3,000キロリットル未満の製造量であることが要件です。(前年会計年度における酒類の品目ごとの課税移出量が、すべて3,000キロリットル未満である酒類製造業者が製造)
N社は要件を満たす国内ワインメーカーから「課税移出数量が品目3,000キロリットル未満である酒類製造者である証明」を受け取り、国産ワインを扱う旨の条件緩和申請をしました。

その後、N社は更なる業務発展のため、海外産ビールを取り扱いましたが、特に条件緩和申請は必要ありませんでした。さらに国産地ビールも販売することになりました。その際には国産地ビールメーカーより「課税移出数量が品目3,000キロリットル未満である酒類製造者である証明」を書いてもらい、酒類品目追加の条件緩和申請を致しました